インタビュー : Sundays & Cybele

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東京のアンダーグラウンドシーンから世界に向けて、サイケとフォークの心躍るようなブレンドをお届けしよう。

ディープでコアなミュージシャン達で彩られたニューヨークのBeyond Beyond is Beyond レーベルより、シベールの日曜日の新譜がドロップされて、簡単に手に入るようになった。

マルチインストゥルメンタリストでありボーカルである坪内は凍てつく北海道の大地で育ち、高校を出た後、2004年に大学内でシベールの日曜日を結成した。

シベールの日曜日のサウンドは、丁寧でローファイなフォークを、天高く屹立するサイケデリアによって包み込んでいく。それはSundays & Cybele IIとGypsy Houseにおいてより顕著になっており、それらを聴くにつけ、あの水谷孝の天賦の才に通じる何かを受け継いでいるように感じられてならない。

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長髪、黒づくめにサングラス。
それだけでなく、かのミステリアスな裸のラリーズのギタリストが奏でる音楽から溢れ出るヨーロッパ芸術への情熱をも、坪内は受け継いでいるかのようだ。

当然のことながら、それ以外の、例えばLinda Perhacsさながらのフォークから、疾走するThe Velvet Undergroundのグルーブ、さらには初期Pink Floydまで、様々な要素を彼らの音楽から感じ取る事が出来る。

坪内は稀に見る天賦のメロディセンスを持ち、また彼はそれを映画用撮影レンズのようなセンスを通して、ある時は極限の接写を、またある時は広角のパノラマレンズで幾重にも重なるギターとオルガンの広がりを捉えて見せる。

人工的な街並みに、空は雲一つなく、とても静かだった。遠くに巨大な工場が煙を吐いていて、まるでデ・キリコの絵画のようだと思って、こんなところに住みたいと思った。

新しいドラマーの加入により活性化され、彼らは既に次の作品に向けてスタジオでの準備を開始している。

それは、来年のUKツアーの企画に合わせてリリースされることが期待されている。

BNUは坪内にシベールの日曜日の背景について、また、ここ10年を通してどのように彼の音楽が進化してきたのかについて、尋ねてみることにした。

BNU: あなたは北海道で育ったと伺いました。あなたはどんな少年だったのでしょうか。北海道で過ごした10代を楽しんだのでしょうか、それともそれとも大きな都市に移り住んでもっと刺激的なことを見つけたいと思っていたのでしょうか。また、北海道の自然はあなたの音楽に影響を与えたと思いますか?

小さな頃の私は大人のような喋り方をする反抗的な子供だった。十代のころは自分がどうなりたいとか、未来のことについて深く考えたことはなかった。けれど、退屈を持て余していてここではないどこかに行きたいとは考えていた。

10615987_797963756914933_654019900369535266_n17歳のときにはじめて北海道から、確か羽田空港に飛行機で行って、川崎に住んでいた兄の様子を両親と見に行った。都会だと思ったけれど、そのときもっとも興奮したのは泊まったホテルまでの道のりで、駅に降りてからそのホテルまでは200メートルくらいの距離があったと思うけれどひとりの人にも出会わなかった。人工的な街並みに、空は雲一つなく、とても静かだった。遠くに巨大な工場が煙を吐いていて、まるでデ・キリコの絵画のようだと思って、こんなところに住みたいと思った。

生まれ育ったところは海沿いの小さな港町で、いつも強い風が吹いているので高い木がない。その分遠くまで見渡すことができて毎日学校に行くときに海を見るのが好きだった。海はとても好きだけれど海水浴に行ったりしたことはない。よく一人で海を見に行った。ただ見るだけ。

はじめはラリーズのようなバンドをやりたいと思っていたのは事実だ。これなら自分にもできる、と同時にこんなふうに演奏したいと思える唯一のバンドだった。

漁師町の人たちは海に対して感謝と恐れを持つ。恵みをもたらすと同時に危険でもあるからだ。夜に口笛を吹くと嵐を呼ぶ、という迷信を知らず漁師の家で口笛を吹いて叱られたこともある。

実際海の上というのは法律の及ばない混沌とした世界で、そういうカオスや善悪の二面性は自分の音楽に影響を与えていると思う。

BNU: あなたの音楽に影響を与えた人達を教えて頂けますか? そして、どのようにバンドを結成するにいたったのでしょうか。

小さいころからピアノを習っていたのでたくさんクラシック音楽を聴いた。自宅にあったモーツァルトやベートーヴェンが好きで絶えず頭に鳴っていた。それに合わせて歯をカチカチ鳴らしていたので小学校では奇人扱いされていた。

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バンドはそれから大分経って、いろいろ職を転々としてから大学に入ることにした。大学に入ったらバンドを組もうと思っていくつか自作曲を作っていた。

大学にバンドサークルがあって、練習する場所から音がするので近づいて行ったら近くにスティックを持った男が座っていて、彼に声をかけた。

バンドを俺とやらない?って。

その彼とはファーストアルバムの録音や東京に来てからもしばらく一緒にやった。最近また彼とレコーディングをした。

祖父は31歳で亡くなったので、自分も31歳で亡くなるのではないかという恐怖がずっとあったのだけれど、無事に31歳を過ぎてようやく自分の人生を始められたという気がしている。

はじめはラリーズのようなバンドをやりたいと思っていたのは事実だ。これなら自分にもできる、と同時にこんなふうに演奏したいと思える唯一のバンドだった。

BNU: あなたが選んだバンド名はフランスの映画に因んでいますね。なぜその映画にされたのでしょうか。

大学の軽音楽部でバンドを組んですぐに学祭に出ることになったのでバンド名を付ける必要があった。My Bloody Valentine みたいに映画の名前をとったバンドにしようと思ったのは考えるのが面倒だったからで、”Z”(ギリシャ語で「彼は生きている」)というフランス映画も候補だった。

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しかし魔法のような映像手法とストーリー、異教的なモチーフが自分に合っていると思って決めた。おかげで学生時代のときから東京に来てからもあだ名はシベールだった。もし‘Z’だったらまったく違う音楽をやっていたと思う。

この映画をバンドの名前にしたおかげで、バンドのファンの友人がシベールという神についていろいろ調べてくれた。ルーツはキュベレーという神で大地と豊穣の女神だ。死と再生の神でもある。やろうとしている音楽そのものだった。映画のシベールの日曜日でいちばん好きなシーンはマッチ箱の中からピエールに自分の名前をプレゼントするところ。

HeavenのなかのTime Mirrorという曲は仕事中にベースラインが浮かんだので30分おきくらいに5回ほどトイレに行くふりをしてメモをつけて完成させた曲です。

名前に関しては私にもエピソードがあって、生まれてすぐに死にかけた。それで仮に死ぬにしても名前も無い状態ではいけないと、亡くなった祖父と同じ名前を付けたところ蘇生した、ということがあった。

祖父は31歳で亡くなったので、自分も31歳で亡くなるのではないかという恐怖がずっとあったのだけれど、無事に31歳を過ぎてようやく自分の人生を始められたという気がしている。

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BNU: 私はいつも、特にあなたのファーストアルバムにおけるアコースティックな曲に水谷孝の影を見るのですが、それだけでなく、それ以降のアルバムにおけるフィードバックギターや、深くリバーブがかかったボーカルにもそれを感じます。これは意図的に水谷を模したものなのでしょうか?

もちろん意識していなかったわけではないけれど、より個人的な理由で、あれを作ることで自分自身を癒す必要があった。それと、その当時の録音機材の限界からあのスタイル以外の方法で鑑賞に堪えうる録音ができなかったというのもある。

おそらく自分の心のなかのなにかを修復するのにはこのスタイルが自分にとっては適していて、最近またアコースティックなスタイルでアルバムを録音した。それは昔のバンドメンバーとのわだかまりを修復するような作業だった。近いうちに届けられれば良いのだけれど。

BNU: アルバムをリリースするごとに、(恐らく「Tsubouchi」を除いて)その音は太くなり重層的になり、そしてよりサイケデリックになっていきました。これは、スタジオでの経験に依るものなのでしょうか?

その通りです。最近ようやくファズギターを満足のいく状態で録ることができるようになったのだけれど、限界も感じていて、何より自分で録音からミックスまで全てやっているうちにあっという間に年月が経ってしまう。

ギターを弾いたり曲を書いたりするべき時間を犠牲にして編集作業をするべきではないと考えるようになりました。

BNU: 曲を書いているとき、通常、何が最初に思い浮かびますか?

だいたい仕事をしているので、たいてい仕事中にメロディが浮かんで、楽器無しで曲をつくる癖がついてしまった。

それを書き留めておいて、家に帰ってからギターを弾いてみて確認する、という順番です。楽器を持つ時点でだいたい完成していることもある。

HeavenのなかのTime Mirrorという曲は仕事中にベースラインが浮かんだので30分おきくらいに5回ほどトイレに行くふりをしてメモをつけて完成させた曲です。

BNU: あなたの音楽はメランコリーと楽観のブレンドになっていると感じます。今まで、孤独や憂鬱とは戦って来られましたか?

孤独感や憂鬱とは常に戦っていますが、その質は変わってきていると思います。以前は個人的な問題だけをかんがえていればよかったのだけれど、いま現在世界で起こっていることから目を背けていられなくなっています。

おそらくそういう表現方法になったのは、生まれた時から少数派で、理解しあえる仲間がいなかったのと、大勢のひとたちに同調することができず結構抑圧されていたので反抗心がそういう表現形態につながったのだと思う。

BNU: あなたは幾つかのローカル、そして海外のレーベルからリリースして来られましたが、特に初期の作品はカセットでのリリースで、近年は主にCD、レコードによるリリースで、またデジタルでの配信も開始されました。まずローファイな録音から開始されたのは意図的ですか、それとも予算の関係だったのでしょうか。

もともとHeavenの音はバンドを結成した当初の音に近い。

いいえ、最初のリリースもCDですが、lo-fiであることは確かです。それは意図していたというより、そういう方法でしかできなかったからです。録音機材が家にあって、持ち歩くのがたいへんだったので大半を自宅で録りました。アコースティックギターを安物のマイクで録って、歌も同じマイクで、という感じでやっていった。自分のできる範囲でやって、できないことは一切やらないというのが良い結果をもたらしたのだと思う。

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BNU: あなた方は最近ちょうどオーストラリアツアーから戻られたところですね。しかも、僕の故郷のByron Bayまで回られたと伺いました。ツアー中、どのライブが最も上手く行ったと思いますか? またオーストラリアのどのようなところを気に入られて、逆にどのようなところをイマイチだと思われましたか?

バイロン出身とは素晴らしい。ライブはやらなかったけれど本当にリラックスできる場所だ。

ツアーは所属レーベルのGuruGuru Brainから話を受けて、破地獄のLi-Yangと連絡しながら進めた。といっても実際にブッキングの話をしてくれたのはLi-Yangだけれど。

メルボルンでやったふたつのショーは甲乙がつけがたい。どちらも落ち着いて演奏できた。オーストラリアは豊かな国だ。たくさんの若いひとたちが文化や芸術に関心を持っている。それは素晴らしいことだと思う。反面物価が高くて苦労した。

BNU: 最新アルバムのHeavenのレコーディングに際して、どのようにアプローチされましたか?過去作品よりもさらにラウドに、アグレッシブに変化していますよね。

Heavenを録る数か月前に新しいドラマーを迎えた。彼はもともとうちのスタッフで、本職のドラマーではなかったのでシンプルなプレイしかできなかった。それに合わせて演奏する曲を作っていった結果、ああいう作品になった。

もともとHeavenの音はバンドを結成した当初の音に近い。実際古い曲をアレンジし直してああいう形にすることができたのは良かった。

10847984_861398133904828_5073911960660064635_nBNU: Sundays & Cybele II に収められている「二人の黒い物語」は、歌詞を変更されて「Night Predator」と変名されていますが、その理由を教えて頂けますか?

二人の黒い物語には歌詞に不満があった。あのリフ自体は2005年ころには完成していて、機材がグレードアップしてラウドな音が録れるようになったこととドラマーのプレイスタイルが適していたのでタイミングが合ったと思って取り直した。

歌詞に関していえば、以前のバージョンはキザでロマンチックなだけなのだけれど、今演奏するにはもっと歌詞に深みが必要だった。Night predatorという言葉の響きがものすごく気に入って、そこから歌詞を膨らませていった。

また、HeavenのなかのEmpty SeasはAngel と同じリフを持っているのだけれど、もともとは違う曲だった。Angelの歌詞が気に入らないので、Empty Seas とAngel を一つの曲にはぎあわせた結果ああいう形になった。Angelは古い曲で演奏時期によって6つくらいのバージョンがある。Gypsy Houseの Angelは5つめくらいのバージョンだ。

そういうふうに曲のアレンジを変えていくのが好きだ。

BNU: Heavenをヴァイナルリリースされた今、次は何をされようと考えていますか? 海外ツアーに出られそうですか?

Heavenのリリースはバンドに自信とやる気をもたらした。ツアーのあとから海外に発信するものと、国内で発信するものは分けて考えるべきだと思うようになった。

海外ではヘヴィサイケデリックなものが喜ばれるけれど国内ではそうでもない。日本でやるなら今はソフトな表現が合っているように思う。以前は両方をどうやって統合するかが悩みだったのだけれど、結局分けるしかないという感じで、今日、その方針のもとにつくった2枚のアルバムのマスタリングが終わったところだ。

けれども今計画していて12月からレコーディングに入る予定のアルバムはまた別の方向になっている。Waiting for YouやTime Mirrorのような、Pink Floydスタイルの音でアルバム一つを完成させるつもりで、今はその計画に夢中だ。

来年にUKに行く案件があるのでそれに合わせてツアーを組めれば良いと思っている。あとは台湾や香港にも行きたい。もちろん求められる場所にならどこへでも行きたい。

Sundays&Cybele 2 [ シベールの日曜日 ]

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