Kawaguchi Masami

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Photo: Funaki Kazuyuki

川口雅巳は、その想像力豊かで即興的な作曲のスキルと扇情的なギターソロによって90年代以降の日本のアンダーグラウンドシーンにおいて多大な影響力を持つ人物だ。

彼は、みみのことやBroom Dustersといったエクスペリメンタル・ロックグループのオリジナルメンバーであり、また、裸のラリーズのベーシストであった高田清博とMaher Shalal Hash Bazの長谷川真子によって結成されたlos doroncosのギタリスト/ベーシストでもある。

彼はまた、彼の名前を冠したバンドであるNew Rock Syndicateで活動し、P.S.F.レコードの有名な東京アンダーグラウンドコンピを通して彼らを知ったファン達を巻き込み、海外ツアーを精力的に行っている。

また、Acid Mothers Templeの田端満やBardo Pondら海外のアーティストなどとも多くコラボレーションを行なっている。

今回、ちょうどソロデビューアルバムである「The Mad Guitar Sings」発売を2週間後に控えた彼がBrownnoiseunitメンバーのインタビューに応じてくれた。

あなたはどこで生まれ育ったのですか?また、音楽との関わりはどのように始まったのでしょうか。

三重県伊勢市出身で、高校生までそこで過ごしました。音楽を聞くのは小さい時から好きで、テレビやラジオで歌謡曲を聞いていました。11歳位の時、兄のフォークギターを借りて弾き始めたのが楽器をやり始めたきっかけです。

それで中学生の時、自分のエレキギターを手に入れて、友達とバンドを始めました。

実験的な音楽のどういったところに惹きつけられましたか? 即興演奏の仕方を学ぶのは骨が折れたのではないでしょうか。
あなたがステージ上で即興している時、何が起きているのでしょうか?頭の中が真っ白になっていく感じでしょうか? 

音楽に限らず、それまで見たことがないもの、聞いたことがないものには強く惹き付けられます。実験的な音楽もそういったところに惹かれました。即興演奏を始めたのは92年頃で、そこから10年くらい荻窪にあった(現在は高円寺にあります)グッドマンというジャズクラブで毎月即興演奏のライブをやっていました。色んなミュージシャンと共演しながら、様々な方法を試しました。

即興演奏をする時に最も意識するのは気配ということです。音そものだけでなく、その場の空気とか、共演者のバイブレーションとか。ただ僕の中で即興演奏と曲の演奏に明確な区別はありません。曲も即興でどんどん形を変えていきますし、即興もその場で作曲しているようなもので、即興演奏と曲の演奏を行き来するような演奏が好きです。

曲を作ろうとする時、何をすべきか予め考えていたりしますか?それともまず演奏を始め、何が起こるのかに身を任せるのでしょうか? また、あなたはグループを組む場合において、リーダー役を務めることが多いですか?それとも特にそういったリーダーなしで民主的に進めることが多いでしょうか。

予め考えて曲を作り出すことはないですが、作っていく過程でその曲で何をすべきか、テーマのようなものを考えていきます。もちろんバンドでまず演奏を始めて、そこで自然に起こったことがきっかけで曲になることもありますがその場合も自分の考えと合わせて曲にテーマをもたせるようにしています。

losdoroncos b自分のグループではリーダー役を務めることが多いです、特にリハーサルではメンバーに細かく指示を出すこともあります。ただライブのステージではメンバーと民主的な関係で演奏できるよう心がけています。

ミュージシャンの方々はしばしば、自分自身のために音楽を作っている、と言いますが、芸術は自己表現というだけでなく、コミュニケーションの手段でもあると思います。今から実験を行おうとする時、自分たちが生み出すものに対し、あなたやバンドのメンバーはどのような自己評価を行っているのでしょうか。

僕は自分自身のために音楽を作っているという感覚はあまりないです。そしてコミュニケーションであるという側面はとても重要だと思います。ただ日常生活でのコミュニケーションとは違って、誤解や曲解もあっていいと思います。そして音楽を通してのコミュニケーションはより感覚的でスピードがあって、送り手も受け手も無意識のうちに行われるようなところがあると思います。演奏が始まってしまえば、どうなるかは分からないし、それを受け手がどう解釈するかも自由だと思います。ただ自分が生み出したものには責任を持ちたいです。その為の準備、つまり練習はとても大事だと思っています。

あなたにとって音楽とは何ですか? またあなたが演奏している時、あなたが大声では口に出来ない様々なものたちを楽器が代弁しているのでしょうか。

音楽、何なんでしょう?ずっと考え中です。僕にとっては大好きでとても大切なものということは言えます。楽器を演奏することは楽器と僕とのコミュニケーションでもあるので、そこから自分だけでは考えつかなかったことや気づかなかったことが現れるし、楽器と僕との関係を見せることも表現の一つと考えています。自分一人ではできないことを楽器と一緒にやるということです。

maxresdefault-3下に何人かの日本のミュージシャンを列記したのですが、もしできれば彼らの演奏の好きなところ、またはもしもあなたの演奏や音楽へのアプローチの仕方について影響があったとしたら教えて頂けませんか?

Kawabata Makoto: 好きなことを思いっきりやり切るという演奏がカッコいいです。

Keiji Haino: 僕の音楽に最も影響を与えた人であることは間違いありません。

Michio Kadotani: 彼のアルバムは好きでよく聴きましたが、あまりに自分とは違うと思いました。

Tabata Mitsuru: 確かなテクニックと沢山のアイデアにはいつも驚かされます。

Michio Kurihara: トレモロアームとワウペダルの使い方、そして立ち姿が素敵です。

Takashi Mizutani: 一度だけ見たラリーズでのギターの爆音は忘れられません。

多くのサイケロックファンにとって、日本のサイケシーンはある意味ミステリアスで魅力的に思われます。それは言語の壁によって、日本の音楽を見つけ出し、手に入れることが困難だからです。あなたは海外の音楽で、そのように魅力的で、もっと知りたいと思うような音楽はありますか? またどんな音楽からインスピレーションを受けますか?

10年位前から、韓国の70年代から80年代のロックに興味を持って聴いています。とてもサイケデリックでユニークなサウンドのバンドが多くいて、特にシン・ジュンヒョンが大好きです。日本人にとっては韓国語は英語より分かりづらく、韓国の音楽の情報もほとんどなかったので、それまで韓国にロックがあるということも考えなかったのです。西洋の方の日本のサイケシーンに対するスタンスと似ているかもしれません。運良く、日本人の友達のミュージシャンが韓国に住んでいて、そのおかげで色々と知ることができるようになりました。その友人は長谷川陽平さんと言って、韓国ロックに関する本「大韓ロック探訪記」を昨年出版しました。

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Photo: Funaki Kazuyuki

僕も韓国語を勉強して少し分かるようになったので、ここ数年は頻繁に韓国を訪れています。そして、民族音楽と中世音楽にもとても興味があります。民族音楽は手当たり次第、聴いたことがない国のものを買って聴いています。中世音楽は特にトゥルバドゥールの音楽が好きです。民族音楽は最強のアヴァンギャルドミュージック、中世音楽は最高のサイケデリックミュージックだと思います。

あなたの最もお気に入りのギターは何ですか?またそれを手にしたときのストーリーなどあれば教えて頂けませんか?

また、そのギターをお気に入りに選ばれた特別な理由はありますか?

お気に入りは今もメインで使っているフェンダージャパンのビグズビー付テレキャスターです。20年位前、偶然吉祥寺の楽器屋で見つけて一目で気に入り購入しました。とにかく高校生の頃からずっとテレキャスターが大好きだし、ちょうどトレモロアームを使ったプレイに興味を持ちはじめた頃だったので(クイックシルバーのジョン・シポリナとか)、これだと思いました。トレモロアームが付いたテレキャスターは珍しかったですし。

日本の音楽シーンは閉鎖的だと思われますか? あなたは普段飲みに行ったり遊びに行ったりする時はあなたと近い音楽を演奏する人たちと行きますか?それとも関係なく誰とでも行きますか? また海外ツアーをされる時、日本との音楽シーンの違いに気づくようなことはありますか?

maxresdefault-5日本全体のことは分かりませんが、自分の周りのシーンは閉鎖的とは思わないです。海外のミュージシャンと交流したり、海外から作品をリリースしたりしてる人も多いですし、国内でも東京以外の地方のミュージシャンと関わりはあります。飲みに行ったりするのは大体自分のライブの後か、誰かのライブを観に行った後なので、やはり音楽関係の人と行くことが多いです。一人でぼーっと飲むのもリラックスできて好きです。

あと僕は韓国のアイドルグループ少女時代のファンなので、そのファン仲間で飲みに行ったりします、笑。海外と日本の違い、よく言われることですが、アメリカなんかだと特にライブに興味がない、たまたま店で飲んでたお客さんがライブを観に来たりするのは日本ではないことですよね。

あなたは食事を愛しておられますね。ツアーで家から遠く離れている時、普段食べているようなものでどんな食べ物を食べたくなりますか?

食事は大好きですが、特にグルメという訳ではありません。カレーとビール、それに蕎麦があればオッケーです!自分で料理するのも好きです。食事は体を作るもので、何を食べるかで気分も体調も変わってくるので、色々考えながら楽しんで作っています。海外ではできるだけその国の料理を食べたいと思っています。食文化にも興味があるので。普段は肉類はできるだけ食べないようにしていますが、海外に行った時はそれもあまり気にしません。僕はツアーといってもせいぜい2週間くらいの短いものなので、日本食が恋しくなるというようなことはありません。

Kawaguchi+Masami's+New+Rock+Syndicateもしこの日本の中で普段は立ち入りが禁止されている場所に行けるとしたら、あなたはどこに行きますか?

皇居。

どんな本や映画がお好きですか? また休日には何をして過ごしていますか?

本は軽く読めるものが好きです。東海林さだおの丸かじりシリーズとか、ナンシー関、みうらじゅん、久住昌之のエッセイをお風呂でよく読みます。映画は詳しくないですが、最近観たものではマッドマックスとコングレス未来学会議が面白かったです。視覚的に刺激のある映画が最近の好みです。

休日は昼間は家で音楽を聴いたり、テレビを見たり、ネットをしたりメールの返事を書いたり。夕方から映画を観に行ったり、レコード屋に行ったりして、夜はライブを観に行くか、お酒を飲みに行くかという感じです。一週間くらい休みがあれば韓国に行きます。韓国を近いですし、飛行機代もそれほど高くなく、何よりお酒も食事も美味しいですから

あなたが自信を持って勧める、まだ多くの人が持っていないようなアルバムはどれですか? また、まだあなたの音楽を聴いたことがない人にはどれを最初にオススメしますか?

自分のアルバムはもう廃盤になっているものも多いので、手に入りやすいものだと

BroomDusters — 23hours 30minutes

Miminokoto — 2

Kawaguchi Masami’s New Rock Syndicate — Cat Vs Frog

の3枚。これは家にありますので、聴きたい方は連絡下さい。あと来月リリースされるソロアルバム”The Mad Guitar Sings”は是非聴いて欲しいです。

Select records in Masami Kawaguchi’s back catalog are available via Discogs or at good record shops. 初のソロアルバム「The Mad Guitar Sings」は以下のサイトから来月発売予定なので、チェックしてみて欲しい。


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