Chouchou インタビュー

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電子の渦の中、コード化された自我が流れ着いた最果てで鳴らされるレクイエムーーー

バーチャル空間・Second Life内で結成され、かつて現実世界では一切の活動を行わず、電脳空間においてのみ存在を知られてきた孤高のデュオ・Chouchou。

楽曲、作詞のみならずステージビジュアルやアートワークまで全て自身で手掛け、他者からのあらゆる制約を排除し、アバターを使った独創的なライブパフォーマンスや、逆に昨今では物理メディアや実写映像作品への挑戦など、真にジャンル、国境、また肉体の有無をも越えた縦横無尽な活動を展開している。

今回BNUは人種も国境も越えてファンベースを拡大する彼らに運良くインタビューすることができた。
実は話をすることが好きだという彼らが、その謎に満ちた素顔を意外なほど饒舌に語ってくれた。

最初は好きとかそういう感覚も全く無く、ただやらなければいけない物という感じで

BNU: まずはじめに、音楽に興味を持ったきっかけは何でしたか?音楽との出会いを教えてください。 また、音楽的なバックグラウンドも教えて頂けますか?

arabesque (a):僕は興味を持つ以前に両親ともクラシックの専門家だったので気がついたらピアノを弾かされていました。最初は好きとかそういう感覚も全く無く、ただやらなければいけない物という感じで始めたのがそもそものきっかけです。

自分から能動的にやってみたいと思ったのは中学生になって作曲をやり始めてからかもしれません。それまで「音楽を楽しむ」という感覚がなくて中学になって親のお古のウォークマンにブラームスのシンフォニーを入れて聴きはじめたんですね。外で音楽を、移動しながらウォークマンで聴くということにものすごいどっぷりハマっていって、少しずつ音楽の良さみたいなのをやっと感じるようになって、そこからクラシック以外の音楽っていうのも聴くようになって、むしろそっちの方を聴くようになっていったんです。

特にどのジャンルをよく聴いたっていうのは、なかったかもしれないけれどでもやっぱりちょっとエレクトロ寄りのものをだんだん多く好むようになって。色んなジャンルを成長過程で聴いたし、普通のPOPも聴いたしヒーリングみたいなのも聴いたり、映画のサントラっぽいのにハマった時期もあれば、僕らの世代でいうとちょっと古い音楽になるんですけれど、Y.M.O.とかをつとめて聴くようにした時期もあったし。

一通り聴いたんじゃないのかな、けっこうへビィ目のロックとかを集中して聴いてた時期もあったと思うし。あと民族音楽系とかClannadっていう民族音楽とエレクトロみたいなのを併せてたような感じのを聴いて、そのあたりはEnigma、Deep Forest、Enyaとかを聴いてたかな。あとPortisheadとか。

juliet (j):私も音楽に関しては結構ジャンル問わず、それこそ静かなものから激しめなものまで好きになったものは何でもという感じで、アラベスクとかなり似たような道を通ってきたと思います。私もPortisheadはかなり聴きました。

でも家庭環境で言えば、私の両親はジャズが好きで、小さい頃からよく家や車の中でジャズが流れていました。Sarah Vaughan、Ella Fitzgerald、Billie Holiday、Carmen McRae、Tony Bennettとかは完全に両親の影響で聴くようになりました。Ella Fitzgeraldを初めて聴いた時、「なんて夢のような歌声だろう」って思ったのをよく覚えています。お洒落でカッコイイジャズももちろん好きですが、あのジャズの持つ暖炉とか、ロウソクの火を灯したような温かい雰囲気がとても好きなんですよね。

あと記憶に残ってるのは、幼い頃よく聴いた父の歌声ですね。父はとても渋い声をしていて、一緒にお散歩に出かけた時とかによく英語の曲を口笛を交えながら口ずさんだりして、それがいつもすごく哀愁があって、本当に上手で。結構影響受けてるのかなと思ったりします。

母は大学が作曲科で、親戚にも結構音楽関係が多かったりするんですが、私はアラベスクみたいに「音楽の道で生きていこう」なんて思ったことは一度も無くて、アラベスクに誘われるまでずっとデザインやファッションの分野で生きてきて、大学もニューヨークにある美術系の大学の服飾デザイン科出ていますし、周りも皆ファッション畑の人間ばかりなので、当然そのままファッション業界でやっていくんだと思っていましたし、そのつもりでした。

そう考えると、私の人生で一番音楽的に影響を与えたのはアラベスクになりますね(笑)

「だって別に良ければいいじゃん、誰にも文句は言わせないぜ」って感じで自由に作ったのが signでしたね。

BNU: Chouchou結成はセカンドライフ内でarabesqueさんがjulietさんに声をかけたところから始まったと伺いました。 その当時、既にarabesqueさんの構想の中にイメージするボーカル像があって、それを体現できる人を探していたのでしょうか。 それとも人柄や性格などの波長が合ったために始められたのでしょうか。

j:よく間違われるんですが、実際はSecondLife(以下SL)で知り合ったわけではなく、元々知り合いで一緒にSLを始めたんです。2007年の初めぐらいだったっけ、アラベスクさんが最初誘ったんだよね。こんなのがあるらしいんだけどって。

a:そうそう。

j:でもChouchouの結成はSL内でというのはその通りで、元々その自由度の高さで知られたSLの中でいざ何をしようかと思った時に、仮想空間での物づくりにも興味があったんですけど、喋ることも好きだったのでSL内でラジオ放送を始めることになったんです。

その時にアラベスクから「僕が番組のオープニングとエンディングテーマ作るから、歌ってみる?」って言われて。それがきっかけでできた曲がutakatasignでした。

hero_arabesque

a:最初はそんな感じでただ単発で一、二曲作るだけで、ましてそれを売るなんてことも考えていなかったんです。でも当時仕事としての曲作りもやっている中で、なかなか自分でやりたい曲作りが出来ない環境にあって、非常にフラストレーションが溜まっていたんですね。それのストレス発散じゃないけれど本来の自分のやり方を取り戻したいなみたいな気持ちがあって。

それで初めてutakataを作ってジュリエットに歌ってもらったら結構二人とも気に入って「これはいいよね、これは今までにない感じで独特なジャンルになりそうだよね」ってなって。それですぐに2曲目、当時僕がやりたくてやれなかったアレンジなんかを「だって別に良ければいいじゃん、誰にも文句は言わせないぜ」って感じで自由に作ったのがsignでしたね。

オケの段階で既にかなりいい出来で自分でもすごく満足だったんですが、そこで更にジュリエットに歌を入れてもらったら思った以上にはまって。未だに人気もありますしね。これで「あ、行ける、もっともっとこれならもっと行ける」っていう気持ちが出てきて。

j:utakataで「あ、けっこういいかも」って思ってsignで確信に変わったって感じだったんでしょう?

a:うん、確信したね。だからそういう意味で「その当時、既にarabesqueさんの構想の中にイメージするボーカル像があって、それを体現できる人を探していた 」かと言われるとそうではなくて、むしろやってみた結果「あ、なるほどこれだわ欲しかったのは」みたいな感じでした。

最初の質問の回答に少し戻るんですけど、音楽に関しては二人とも同じ時期に申し合わせたかのように同じ物を聴いていて、しかも例えばメディアですごく売られてた有名なところでかぶってるんだったら判るんですが、どちらかっていうと比較的マニアックな、ニッチなところで完全に「ここまでかぶるか」っていうくらい何もかもかぶっていたんですよ。

だからかねてから一緒に音楽をやっていく上で抵抗はすごく少ないだろうなとは思ってたんですが、でもまさか本当に音楽を一緒にやるとは思ってもみませんでしたね。

hero_juliet

自分達の出したい作品にあった活動方法とか表現方法ができるプラットフォームをその都度選択して行きたいと思っています。

BNU: あなた方はセカンドライフ内で結成され、昨年でこそCDをリリースされるようになりましたが、基本的に活動もバーチャルな空間に限定されています。何故バーチャルでの活動にこだわるのか、「exploring the possibilities of music in virtual environments.」に籠められた想い・狙いを教えて下さい。

j:実を言うと、ここ数年はバーチャルでの活動もしていないんですよね。

a:確かに。まぁでもどこまでをバーチャルというのか。

j:ネットで活動する事自体バーチャルなのかもしれないけど。

a:僕は最初の質問で答えたように、音楽を楽しむようになった原点が外で一人でウォークマンを聴き始めてからというのがあるんですよね。なので一人の世界で音を楽しむということにものすごくこだわりがあって、それを突き詰めて考えるとみんなそれぞれのPCの前にいるとか、それぞれのiPodで聴くとかそういう形に自分達の作りたい物が集約されているんだと思うんです。

もちろん全部「今のところ」という前置きがつくのかもしれないけれど、結果的にこういうネットを中心とした活動がメインになっているってだけで、別に絶対限定しようとか、何かマーケティング的な狙いやコンセプトがあってやってるというわけではないんですよね。

今の所自分達が音楽をやっているそもそもの理由を極限まで考えると、このリリースや表現のやり方が一番向いているというだけで。

j:そもそもSL内で音楽を出すことになったのは、さっきの質問にあったようなことがきっかけだったからそうはなったんですが、それとは別に結構私もアラベスクも自分達のバックグラウンド的に海外経験が長いというか、アラベスクの場合は父親がチェコ人だったりしますし、一応二人とも普通よりは国際的な視野を少し多く持っていて、多分日本だけじゃなくて海外の人にも向けて発信したいという想いは強かったと思うんです。

でも日本国内で普通に活動していたら、世界中の人に一ヶ所に集まって同じ音楽を聴いてもらう機会ってそうそう無いじゃないですか。SLの中ではそれが普通なんですよね。

日本だけでなく海外の人も同時に同じものを聴いて同じように評価してくれる、SLのそういう部分がその時のChouchouの求めている活動スタイルにすごく良くハマっていたと思いますし、ChouchouのFacebookページを見てもらうとわかるんですが、今のChouchouがアジアのみならず、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカまで世界中で広いファン層を持つに至ったのは、確実にその時の活動が土台になったからだと思っています。

もう一つSLで活動することで良かった点は、ライブのステージ演出に於いて表現の幅が広く、その時の楽曲のコンセプトや方向性に合わせて一からステージを設営することができたり、リアルタイムに会場にパーティクルを降らせたりとか現実では表現が中々難しかったり、莫大な資金がかかるようなことがSLでは遥かに簡単に実現できるという点ですね。

それによって、作品を音的にだけでなく絵的にもリアルタイムにオーディエンスに、擬似的にではありますが、体感してもらうことができるんです。

最近はSLとかバーチャルな世界での活動は全然してないんですけど、別にそれはやめたとかこれからはもっとリアルで活動していきますっていうわけでもなく、自分達の出したい作品にあった活動方法とか表現方法ができるプラットフォームをその都度選択して行きたいと思っています。

Chouchouはとにかく自己プロデュースという部分にこだわりが強くて、コラボレーションは別として、作品の世界観に関わる部分はできるかぎり自分たちでと常々思っているところがあるんです。でも体は2つしか無くて、時間も限られている。その中で、できるだけ自分たちの表現を作品に注ぎ込みたいんですよね。

最近ではそれがCDのパッケージやアートワークに向けられたり、先日発売したremix04 remからは私も映像に参加するようになりましたが、楽曲のMVだったり、そうやって二人が現在進行形で培っている技術や感覚をアウトプットするのに適しているもの、そしてそれによって最大限に作品の持つ世界観をより濃密に聴き手に伝えることができるであろう表現方法を都度都度選んで行くことがChouchouにとってとても大事なことなんです。だからこれからも積極的に変化していきたいなと思っています。

bi_photo

一度その風景の中に自分とその曲を置いてみるんです。

BNU:あなた方の曲はとても映像的だと感じます。 作曲時に、何か情景を思い描いている、または実際に映画を見ている時に曲が思い浮かんだりするのでしょうか。

a:映画を見ているときに曲が浮かぶというのはないです。ただそうですね、僕の中に音楽の原風景、心象風景みたいなのがあって、ある程度曲ができた段階で一度その風景の中に自分とその曲を置いてみるんです。で、その置いた自分がその時その音楽が流れているのを喜んでいるのかどうかっていうのを判断するというのが作曲の工程に入っていて、どの曲でも確実に飛ばさない工程なんですよね。

多分そこが映像的なものと、曲を先に進めるか進めないかっていうのがすごくリンクしている部分なので、その工程を経ることで映像的な部分っていうのが生まれてるんじゃないのかなぁと思いますね。

BNU: アートディレクションはjulietさんが手掛けていると伺いました。 アートワークは音楽にインスピレーションを受けて作っておられるのでしょうか? それとも、作曲段階でお2人の共通の構想があってそこから両方同時進行で形作っていくような感じなのでしょうか。音楽とビジュアル、マルチメディアの関係を教えて下さい。

j:アートワークに関しては二人で考えてこうしようみたいな感じはないですね。とにかくアラベスクが何か制限が少しでもあるとダメな人なので、あくまでアラベスクが自由に作った曲の世界があってそこから歌詞、歌と進み、最後にアートワークをつけて完成というのが制作の流れです。

私がアラベスクの曲作りにアドバイスをしたり、逆に私のアートワーク制作作業でアラベスクにアドバイスを聞いたりというのはあるんですが、最初から二人で相談して進めていくという事はなく、お互いに分担した部分については自分達のやりたいように自由にやっています。

アラベスクが何の制限も無しに自由に曲を作るスタイルが合っているのに対し、私は最初から何かお題やテーマがあってそこからインスピレーションを得たり自分の感覚を広げる事が割と得意なので、自然とこういうやり方、分担になっていったんだと思います。

自分が物語の語り手のように感じることがあります。

BNU: あなた方の作品は、優しさも喜びも悲しみも、どこか全て俯瞰的に提示されているような視点が感じられ、まるで自然現象のように全てをありのまま受け入れるような、ある種の喪失感を感じます。 音楽制作はあなた方にとってどのような意味を持ちますか?

j:あんまり考えたこと無かったんですけど、私の場合、歌詞を書いたり歌を歌うときはやっぱりその事実を俯瞰的に見ている自分がいるんだと思います。なので歌詞に於いても、歌に於いてもたまに自分が物語の語り手のように感じることがあります。誰かに絵本を読んでいるような、そんな物語の案内人みたいな感覚に近いです。あと特に意識しているわけではないんですが、感情を押し付け過ぎたくないっていうのはいつもありますね。聴き手その人自身を投影できる余白があって欲しい。

人によって曲の感じ方や解釈も違ってもいい、寧ろそうであって欲しい。だから求められても歌詞の説明みたいなものは極力しないようにしてるんです。

私自身、辛い気持ちを当事者として歌っているような曲より、一歩引いたところからそれこそ俯瞰的に見ているような曲の方が聴いていて自分自身と向き合うことができるんですよね。

聴く人が主人公になれるようなそんな歌詞であり歌であって欲しいと思っています。

Chouchouの音楽って特に、聴いてると自分の内面と対話する感じがするというか、とにかく限りなく内向的な音楽だと思うんですよね。自分だけが知ってる美しい景色の中に立って、耳にイヤホンをつけて一人で聴く。そういうのがすごく合うし、そうやって聴いてもらいたいという部分もあって。

その瞬間、聴く人が主人公になれるようなそんな歌詞であり歌であって欲しいと思っています。

a:僕もこの俯瞰的にという要素にやっぱりジュリエットのボーカルっていうのがすごくあると思っています。例えばsign 0とかって最後の方ピアノは結構情熱的に盛り上がってるけれど、ジュリエットは、同じように盛り上がってるわけではないんです。僕がいろんな感情のあるトラックをある程度作って、そこにジュリエットが一つ客観的視点というのをボーカルで与えてくれてるおかげで「涙でぐしゃぐしゃ」みたいなことにならないようになってるんじゃないのかなって思います。

j:ある意味冷たいのかなぁって思うんだけど、そんなつもりもなくて。いや歌にあわせてそういう時もあるけど、逆にものすごい愛情込めて歌うこともあるし。

ただやっぱり自分の歌うときに描いている曲の情景を当事者としては見ていないと思うんです。その情景に音をつける感じ。CATASTROPHEとかは当事者っぽく見えるかも知れないけど、それでもどことなく俯瞰的な部分があの歌にもありますね。

だって喪失感が無ければ何にも始まらないって思ってる節があるというか

a:質問で言われた「ある種の喪失感」って、そういう風に言ってもらえるのはちょっと嬉しいっていうか、だって喪失感が無ければ何にも始まらないって思ってる節があるというか、そのあきらめにも似た感じがあってその上で話さないとという気持ちが多分心のどこかにあってそれは表現してるつもりなんですよね。

j:「音楽制作の意味」についてですが、これは「表現」。自己表現、それに尽きますね、私は。とにかく何か作品を作ったりして表現してないと息が出来ないんです。

a:僕も同じですね。要は食欲、性欲、睡眠欲、表現欲みたいなのがあって、中にある物をとにかく外に出したい。出す手段はなんでも良いんだけれど、今のところ音楽制作が自分達にとって最も効率的な表現欲の放出手段になるのかな。

j:そうだね。表現方法としてデザイン的な部分は勿論、元々文章を書くことも、歌を歌うことも好きだったので、それら全てを満たせる、いやそれ以上に自分さえ知らなかった表現欲求まで満たしてくれるChouchouは、私にとってこれ以上にない表現活動だと思っています。

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ほんとの事を言うとその枠からさらにはみ出た物も色々やってみたいって気持ちはすごくあって

BNU: あなた方はフルアルバムの他に多数のREMIXバージョンをリリースされています。それらからは、メインのアルバムの裏に籠められた夜の顔を感じられるものが多く、まるで昼間押し殺していた感情が夜に倍増されて噴出するような、そんな焦燥感を表現されているように感じます。 Remixを数多くリリースされている意図を教えて頂けませんか?

a:本当にChouchouをよく聴いて下さって、ありがとうございます。

j:自分達で言うのもおかしいけど、やっぱり良い曲だから何パターンも作りたくなるってことはあるよね。

a:それももちろんあるし、Chouchouっていろんなジャンルをやってはいるし結構好き勝手やってるように見えるかもしれないけれど、その中でも一応Chouchouの「枠」を決めてる部分があるんですね。でもほんとの事を言うとその枠からさらにはみ出た物も色々やってみたいって気持ちはすごくあって、そうなったときに一つの保険としてremixラインを作ってるという部分はあると思います。

まあ今度のremix04はむしろChouchouの世界の中の一つを特に掘り下げていったような感じにはなっているけれど。でも外の世界というか、制限を取っ払ってやりたい事をやりたいときにremixなり、別のラインを取り出すようにはしていて、そこでremixにするって言うのはやっぱり一つは曲に自信があるからなんですよね。

何年経っても絶対に良い曲として出せるはずだし、しかも一つの見せ方だけじゃなくて色んな見せ方でもっと楽しむ方法がある、そういったたくさんのポテンシャルを持っている曲だと思っているからそれらを引き出したいという風に思ってるって所があります。

j:他のアーティストさんの曲でもありますよね。何年か経た後に違うバージョンが出てて、そっちの方がいいとか。

a:そうそう。あと他のアーティストさんでライブの時に原曲ぶちこわしたようなアレンジで全然別曲でしょこれ、みたいなのをやってくる人って結構いるけれど、Chouchouにとってのremixバージョンがまさにそれなんですよね。

ライブの時に全然違うバージョンでみんなに楽しんでもらうっていうのを音源にして出してるってようなところも一面としてあって、ライブをやらないかわりにremixバージョンを出すことでそういう楽しみ方を一つ提示しているって所はあるとは思います。

BNU: あなた方の歌詞は日本語、英語、ドイツ語等様々な言語で書かれていますね。これは海外のリスナーに聴かれる事も想定されてのことでしょうか。 海外展開に対する考えをお聞かせください。 また、日本と海外のリスナーで反応の違いを感じられるようなことはありますか?

j:恐らくドイツ語って仰っているのはcomaの事だと思うのですが、comaは日本語の歌詞のアナグラムで出来ていて、ドイツ語ではないんです。他のChouchouの曲も日本語と英語だけですね。

歌詞に関しては、本当だったら例えばそのcomaで歌った時のような日本語でも英語でもないどこの国の言葉でもないような言語が完全に自分たちの中で存在するとしたら、別にずっとそれでも構わないと思ってるんです。特に日本語でなければいけないとか英語でなければいけないという事は無くて。もちろん歌詞に込めている想いや意味はあるんですが、言語自体に意味合いを込めているわけでは無いので。

a:日本語にするか英語にするかっていうのは、現実的な回答で言うと曲によってこれは海外の人の方がウケが良さそうだなとか、あとはこのメロディには何となく日本語は乗りにくいなとか、逆に英語は乗りにくそうだなとか。

j:私も歌うのを想像した時に「あ、このサビは英語で歌うとあんまりだな」とか。

a:そうそう、TRICKERとか日本語で歌うとたぶんすごいダサい感じになりそうだなと思う。

j:いつも歌詞をつける時は、まず曲というかメロディが決まってから英語にするか日本語にするかを決めて歌詞を書き始めるんです。

a:物によってはどっちでもいけるねっていうのもあって、そういう時は例えばアルバムなら、今回は英語の曲ばっかりになってるからこれは日本語にしようかって感じで、どっちでも行ける系の奴でバランスとったりしますね。

j:海外の人にはやっぱり英語の曲の方が聴きやすいだろうしってそうやってバランスをとってるんですけど、意外と日本語の曲を海外の人が好きだったりするんですよね。

a:そうそう(笑)これはちょっと意外でした。特に最初の頃とかってやっぱり海外の人は英語で歌ってもらわないと感情移入もできないし、全く箸にも棒にもかからないと思ってたんだけど。

jそうなんだよね。でもポーランドの映画監督からコンタクトが来てsign 0使いたいって言うから「えーっ」ってなったよね(笑)

思いっきり日本語で歌ってるのに、この曲がいいって強く希望されて。

a:思った以上に海外の人が日本語に対しての抵抗がないっていうのはすごく感じますね。ほんと不思議な事にLUNARIAとかすごい海外の人に人気なんですよね。

j:うん、人気あるね。

結局音楽にとっては言語の違いってそんなに大きな壁じゃないんだろうなと

a:初期の頃は海外のリスナーでB612が好きって言ってくれる人が多かったし、チェコの従兄弟とかもB612が好きって言っていて、やっぱり海外の人は英語の曲の方がって思ったんだけど、最近はあんまり関係ないなって。日本人でもB612好きって人いっぱいいるし。

j:何となく日本人が英語の音楽、つまり洋楽を聴くっていうのは結構もう普通というか日本には広く浸透した習慣になってると思うんですが、海外の人、特に欧米の人とかがピンポイントで日本語の音楽を聴くっていう習慣はそんなに無いだろうと思うんですよね。

そういうのもあって、日本語の歌に違和感を感じるのではないかと最初は思ったんですけど、私だってそんなに英語みたいに浸透していないアイスランド語で歌われたSigur Rósの曲を美しいと感じるので、結局音楽にとっては言語の違いってそんなに大きな壁じゃないんだろうなと最近思うんです。

「日本と海外のリスナーで反応の違いを感じられるようなことはありますか? 」という質問に関しては、少しだけ海外のファンの人の方が積極的な感じがあるぐらいで、お国柄の性格の違いはあれど基本的には海外のファンも日本のファンも皆なんか素敵な言葉をくれますね。

a:詩的な言葉、ポエティックな言葉をくれるよね。

j:そうそう、作品を通してこちらが表現したことに対して感じた気持ちを、一生懸命言葉の表現で返そうとしてくれてる感じがします。

Chouchouは洗練の極みをやろうとしているという部分かなと思います。

BNU: arabesqueさんはフォークトロニカデュオ・Orcaorcaとしても活動されています。OrcaorcaとChouchouとで、表現したいテーマに違いはありますか?またChouchouでもピアノのソロ作品やオフボーカル版をリリースされていますが、これはボーカルを抜くことによってリスナー自身にメロディラインを想像してもらう余地を残すような意図があるのでしょうか。教えてください。

a:そうですねぇ。。。たぶんテーマに違いは無いんですよ。音楽で表現するのも違うことで表現するのもその根底にある泉があって、その表現方法が今便宜上音楽になっているというだけなんです。

最終的に通すフィルターをどうしよう、というのは自分で選べてそれをChouchouっていうフィルターを通すかOrcaorcaというフィルターを通すかっていうだけであって、その根底にあるテーマは同じだと思うんですよね。

結局どういう曲を作ってもやっぱり似た感覚ってのはたぶんあると思ってるんですが、OrcaorcaとChouchouとでの大きな違いはChouchouは洗練の極みをやろうとしているという部分かなと思います。

とにかく磨いて磨いて磨いて一番綺麗になった物を出すっていうのをChouchouにしていて、Orcaorcaはその磨く工程の中で磨く物と全くそのまんま、もう地面から抜いて土が付いたまま、これは残しておこうっていうのはそのまま残しておくようにしておく。

Chouchouだったら絶対に取ってしまう物をあえて残して、でも残したところ以外は綺麗にしておいて「その対比を見てね」みたいな感じにするのがOrcaorcaで、それも全部取ってしまうのがChouchouじゃないのかなと思っています。

ピアノソロ作品はもうあれはあれで一つの完成形だと思っています。じゃあなんでChouchou名義で出したかっていうと、7年以上Chouchouをやってきて、今Chouchouは自分の中のものすごく大きなチャンネルの一つになっているんですよね。

それで、そのチャンネルの中で自分が長くやってきたピアノのソロの作品というのを提示したらどんな形になるのかっていうのをトライしてみたくて、Chouchou名義で作ろうとしたっていう物がピアノのソロ作品です。

で、オフボーカル版に関しては、メロディラインが消えた中で見えてくる「他の楽器のメロディ」みたいな物もたくさんあって、そういった物もそれはそれでまた良かったりするので、そこをじっくり聴いてもらえるようにという意図があるんです。

j:オフボーカル版は、もう単純にアラベスクの曲作りがよく判るんじゃないかなぁっていう思いでリリースしていますね。普段ボーカルの後ろで隠れて支えてる音がたくさん聞こえて、こんな緻密に作られてたんだってわかると思うんです。

こんな細かい音が何個も配置されて一緒に鳴って、ボーカルが入ることで曲になってたんだなぁって。

私でさえ思いますから。あれ、こんな音鳴ってたっけって。

あとBGMとしても聴けるってところがメリットかなと思います。ファンの皆さんは私の歌を脳内再生しちゃうって言ってたけど(笑)

メロディって、もちろんすごく大事なんですけど、メロディ以外の部分の作りも綺麗なんですよね、アラベスクの音楽は。それがインスト版はよくわかると思います。

BNU: 最後に。あなた方の曲を、どんな人に、どんな時に聴いてほしいと思いますか?

j:私はどんな人にでも聴いてもらいたいと思っています。

いつも思うのはその人達の日常の中で聴いてもらいたいっていうのと、あとそれぞれのその人しか知らない景色の中で聴いてもらいたい。その景色に音をつけられたら良いなと思っています。

a:やっぱり僕自身が音楽は一人の時に聴くっていうのもあると思うけれど、一人の時間のお伴にあうんだろうなとすごく思っています。そういう時に何かこう、あまり恩着せがましくなく、その瞬間の感情に寄り添えるような形でいたら、一番それがいいかなと。

j:そうですね、常に聴いていて欲しいとかそういう事ではなく、あ、ここでChouchou聴いたらすごく気持ちいいだろうなって思う場所とか、そう思った時に聴いて欲しいと思います。

a:そっと寄り添えるような感じでいたいよなって思っています。

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